排尿時にペニスが「痛い」「しみる」と感じることは、多くの男性が一度は経験する可能性がある症状です。このような症状は一時的なものもあれば、重大な疾患のサインであることもあります。本記事では、排尿時の痛みやしみる感覚の主な原因、診断方法、治療法、そして予防策まで、医療的な視点からわかりやすく解説します。
排尿時に痛み・しみる症状とは？
排尿時の痛みとは、尿が出るときにペニスや下腹部、尿道に感じる不快な感覚のことを指します。「しみる」という表現は、尿が通過する際に焼けるような感覚を伴うことが多く、粘膜に炎症がある場合に典型的に見られます。
主な原因
尿道炎
尿道炎は尿道に炎症が生じる疾患で、主に細菌感染が原因です。クラミジアや淋菌などの性感染症によるものが多く、放置すると慢性化や合併症を引き起こす可能性があります。
性感染症（クラミジア・淋菌など）
性感染症は、特に若年層の男性で増加傾向にあります。排尿時の痛み、膿の排出、陰部のかゆみなどが見られた場合は、早めの受診が必要です。
前立腺炎
前立腺炎は、前立腺に炎症が起こる病気で、急性と慢性のタイプがあります。排尿時の痛みに加えて、排尿困難、会陰部の不快感、発熱などの症状を伴います。
膀胱炎
女性に比べると男性では少ないですが、膀胱炎も排尿時の痛みの原因となります。尿が濁る、臭いが強い、頻尿なども伴います。
結石（尿道結石・膀胱結石）
尿路結石が尿道を通る際に粘膜を傷つけ、鋭い痛みや血尿を引き起こします。結石が詰まると排尿そのものができなくなる場合もあるため注意が必要です。
その他の原因（刺激物・外傷など）
アルコールや香辛料の摂取、ボディソープの刺激、過度なマスターベーションなどが一時的な痛みの原因となることもあります。
放置するとどうなる？
これらの症状を放置すると、感染が広がって精巣上体炎や腎盂腎炎、前立腺肥大などを引き起こすことがあります。早期の治療が重要です。
病院での診断方法
問診と身体診察
まずは症状の経過や性行為歴などを確認します。外陰部や前立腺の状態も視診・触診で確認されます。
尿検査
尿の中の白血球や細菌を確認することで、炎症や感染の有無を判断します。
性感染症の検査
クラミジアや淋菌などが疑われる場合、PCR検査や尿道スワブで病原体の有無を調べます。
超音波検査や内視鏡検査
複雑な症例では、前立腺や膀胱の状態を詳しく見るために超音波検査や内視鏡が用いられます。
主な治療法
抗生物質による治療
感染症が原因の場合は、原因菌に適した抗生物質を使用します。自己判断で薬を中断すると再発の原因になります。
症状に応じた対症療法
痛みが強い場合には鎮痛薬や抗炎症薬を併用することもあります。
性感染症への対応
パートナーも同時に検査・治療を受けることが再感染を防ぐために重要です。
自分でできる予防法
適切な性行為と衛生管理
コンドームの使用、性器の清潔保持が重要です。性行為後の排尿も感染予防に効果的です。
水分を十分に取る
尿量を保つことで細菌を体外に排出しやすくなります。
刺激物を控える生活習慣
香辛料、アルコール、カフェインなどは粘膜を刺激する可能性があるため、控えることで症状予防になります。
パートナーへの配慮も重要
排尿時の痛みが性感染症に関連する場合、自分だけでなくパートナーへの影響も考慮する必要があります。自覚症状がないまま感染しているケースもあるため、症状の有無にかかわらず、パートナーも一緒に検査を受けることが再感染を防ぐためには不可欠です。また、治療中は性行為を控えることが推奨されます。
再発を防ぐために
一度治療を受けても、生活習慣や衛生管理が不十分だと再発する可能性があります。完治後も以下のポイントに気をつけましょう：
- 十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事を心がける
- 過労やストレスを避けることで免疫力を維持する
- 不特定多数との性的接触を避ける
- 定期的な健康診断や性病検査を受ける
慢性化に注意
症状が軽快したように見えても、完全に治っていないケースでは慢性化する恐れがあります。特に前立腺炎などは長期にわたって違和感や不快感が残ることがあるため、治療の継続と定期フォローが重要です。
市販薬に頼りすぎない
ドラッグストアなどで手に入る市販の鎮痛薬や抗菌薬で一時的に症状が和らぐこともありますが、原因を取り除かない限り根本的な解決にはなりません。自己判断はかえって症状を長引かせるリスクがあるため注意が必要です。
診察時に伝えるべきポイント
医師に症状を正確に伝えることで、より適切な診断と治療が可能になります。以下の情報を整理しておくとよいでしょう：
- 症状の始まった時期と経過
- 痛みの部位と程度
- 発熱や悪寒などの全身症状の有無
- 最近の性行為の有無と内容
- 既往歴や服用中の薬
恥ずかしがらずに相談を
泌尿器の悩みはデリケートで相談しにくいと感じる方が多いですが、医師は専門的な立場から真摯に対応します。症状を放置することで、健康や生活の質に悪影響が及ぶ可能性があるため、早めの相談が重要です。
病院を受診すべきタイミング
数日以上症状が続く、発熱を伴う、排尿困難がある、性行為後に症状が出たなどの場合は、できるだけ早く泌尿器科を受診してください。
よくある質問と誤解
「自然に治るから大丈夫」「性病ではないから放置してもいい」といった自己判断は禁物です。泌尿器の不調は早期診断・治療が重要です。
まとめ
排尿時の痛みやしみる感覚は、さまざまな病気のサインであることがあります。恥ずかしさから受診をためらう方も多いですが、早めの対応が健康を守る鍵となります。心配な症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。
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