男性にとって排尿は日常的な行動ですが、違和感や不調があると非常にストレスになるものです。とくに「トイレが近い」「すっきり出ない」といった悩みを抱えている方は少なくありません。頻尿や残尿感といった症状は、加齢とともに起こりやすくなりますが、若い世代でもストレスや生活習慣の影響で現れることがあります。今回は、これらの症状が気になる方が、「病院に行くべきかどうか」の判断に役立てられるよう、医療的な視点からわかりやすく解説していきます。
頻尿とは?
頻尿は、一般的に昼間8回以上、夜間2回以上の排尿がある状態を指します。しかし、頻度だけでなく、「トイレが近い」「落ち着かない」など、本人の感覚も重要な判断基準です。
また、頻尿には以下の種類があります:
- 昼間頻尿:日中の排尿回数が多く、仕事中や外出時に困ることがある。
- 夜間頻尿:夜中に何度も目が覚めてトイレに行く。
- 切迫性頻尿:突然我慢できないような尿意に襲われる。
これらは単なる生活リズムの問題ではなく、体からのサインかもしれません。
残尿感とは?
残尿感は、排尿後に「まだ出し切れていない感じ」「すっきりしない」といった不快感が残る状態です。実際に膀胱に尿が残っている場合もあれば、神経の感覚異常でそう感じるケースもあります。
この状態が続くと、トイレから戻っても再び行きたくなり、精神的な不安やイライラの原因になります。重症化すると膀胱に尿が溜まりすぎて排尿困難となり、医療処置が必要になることもあります。
考えられる原因
前立腺肥大症
50歳以上の男性によく見られる疾患です。前立腺が加齢とともに大きくなり、尿道を圧迫することで尿の出が悪くなります。トイレに行っても出し切れなかったり、途中で途切れたりすることがあり、残尿感の大きな原因となります。
過活動膀胱(OAB)
膀胱が過敏になり、少しの尿でも強い尿意を感じる病気です。急にトイレに行きたくなる切迫感が特徴で、尿漏れを伴うこともあります。
尿路感染症(膀胱炎)
細菌感染により膀胱が炎症を起こし、頻尿や排尿時の痛み、残尿感が現れます。女性に多いと思われがちですが、男性もかかることがあり、特に高齢男性では前立腺との関係で発症しやすいです。
神経因性膀胱・ストレス
脳や脊髄、あるいは自律神経に関わる異常やストレスによって、膀胱のコントロールが乱れることがあります。糖尿病や脳梗塞の既往がある人は特に注意が必要です。
泌尿器科を受診すべき目安
以下のような場合は、早めに泌尿器科の診察を受けることが望ましいです。
- 頻尿・残尿感が1週間以上続いている
- 排尿時に痛みや違和感がある
- 尿に血が混じる(肉眼的血尿)
- 夜間に何度も目が覚めるほどトイレが近い
- 急な尿意で我慢できず漏れてしまうことがある
診察では何をする?
問診
いつから症状が出ているのか、どんなタイミングで尿意があるのか、排尿の回数や量など、詳しく聞かれます。服用中の薬や生活習慣も確認されます。
尿検査・超音波検査
尿に炎症や血液が混じっていないかをチェックします。超音波で前立腺の大きさや膀胱の残尿量を確認します。
尿流測定検査
排尿の勢いや時間を測定し、排尿機能の異常を判断します。特別な痛みはなく簡単に実施できます。
治療方法
- 薬物治療:前立腺肥大にはα遮断薬、過活動膀胱には抗コリン薬などがあります。
- 生活習慣改善:就寝前の水分制限やカフェイン控えめ、禁煙など。
- リハビリ:骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れの改善が期待できます。
- 外科治療:前立腺が極端に大きい場合は、手術を選択することも。
恥ずかしがらずに専門医へ
排尿の悩みはプライベートなことなので、相談をためらう気持ちも理解できます。しかし、それを放置すると、生活の質が大きく低下したり、重い病気につながる恐れもあります。
泌尿器科はそうした悩みを専門に扱う診療科です。年齢のせいと決めつけず、症状があるうちに相談してみましょう。早期対応こそが、健康で快適な生活への第一歩です。
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